2023.02.13
エンジニアリング部の宮﨑です。
問題解決やマーケティングの施策を考える際、2つの出来事の間に相関関係しかないにも関わらず、私たちはよく「これこれのせいであれこれが起きた」と因果があるように語るときがあります。
たとえば下のようなグラフを見せられて、「広告費をもっとかければ、売上がもっと上がる」と熱弁されれば、なんとなくそうなのかもと思ってしまうかもしれません。

しかし、事実関係の調査もせずに、このグラフだけを信じて広告数を増やすと、痛い目を見てしまいます。
下のグラフであればいかがでしょうか。
アイスクリームの販売数と溺死者数の相関関係を示したグラフですが、これを見て、さすがに溺死者が増える原因がアイスクリームがたくさん売れたからだと考える人はごく少数だと思います。これは、季節という第三の要素を加えると、「夏になるとアイスクリームを食べる人が増えるが、同時に泳ぐ人も増える。泳ぐ人が増えれば溺れる人も増える。」と言えます。

冒頭の広告数と売上高の関係ですが、これにも隠れた要素があります。
この店は11月から12月のお買い物シーズンに合わせて広告をたくさん打っていたのです。
また、この時期には店のクリスマス需要により売上も大幅に増えていました。
実はここにも季節という第三の要素があったため、単なる相関だったものを因果関係と勘違いしてしまっていたのです。
このように、データだけではなくデータの裏側に潜む第三、第四の要素を無視してしまうことで、因果と相関を勘違いしてしまうことはよくあります。
本書では、このような間違いを起こさないために実地実験を行うことが重要であると説いています。
また、実地調査で初めてわかった事実について、いくつかの事例が挙げられていました。
たとえば多くの親は子どもに学校のテストで良い点をとってもらいたいと思います。
また、なかなか宿題をやらない我が子に対し、「宿題やったらおやつをあげるよ」とご褒美でつってみたりすることもあるかもしれません。
特に未成年の場合は、目の前のインセンティブ(ご褒美)に非常に敏感です。
そこで本書ではインセンティブの与え方が子どものテストの点数に影響を及ぼすのかという実験を行いました。
ある小学校の生徒を集めて、コンピューターによる実力テストを行います。子どもたちにはテストの直前に「前回よりもいい点数をとったらご褒美を与える」と伝えました。インセンティブの与え方によって、5つのチームに分けます。
テストの結果、全体の点数は前回より100点満点で5から10点アップしました。さらにわかったことは、「先に子どもに20ドルを与え、前回より点数が上がらなかったら没収」グループの子どもたちの点数が大幅に改善し、「前回より点数が上がったら、テスト終了後すぐに20ドルを与える」と「何も与えず、褒める」のグループはほとんど改善しなかったようです。
ここで重要なのは、ご褒美を与えると子どもたちに伝えたのがテストの直前だったということ。
この実験から、子どもの学校での成績を上げるには知識や能力よりも、やる気が大きく影響することがわかりました。
お子さんに宿題をやってもらいたかったら、先にご褒美を与えると良いかもしれませんね。
そういえば私の娘も、高校の受験前には大好きなHey! Say! jumpのコンサートに行き、大学受験の前にはクリスマスプレゼントをもらったことで、「受験、頑張れる気がする」と俄然やる気になったようでした。
インセンティブは与え方を間違えると、裏目に出てしまうこともあるようです。
ある保育園で帰りのお迎えの遅刻をなくそうと、迎えに遅れた親から罰金を取るようにしました。
具体的には10分以上遅れたら3ドルの罰金をいただくという負のインセンティブを与えました。
その結果、迎えに遅刻する人が大幅に増えてしまったということです。
それはなぜでしょうか?
実は、それまでは遅刻することで「迷惑をかけたな」「怒っているかな」という罪の意識があったのですが、3ドルを払えば延長保育してもらえるということで罪の意識がなくなったのです。
このように、インセンティブが人の行動に影響を与えることがわかりましたが、本書では実地実験の重要さを強調しています。
良くも悪くも人の行動を決めるものが何なのか?
社会情勢かもしれませんし、単純に季節の要因が大きいかもしれません。
また、インセンティブの与え方によっても結果が変わります。
私も大学の研究室で実験ばかりしていました。
そうでないと論文が書けなかったからです。
そういえばよく怒られていたことを思い出します。
「それは事実なのか?それともお前の予測なのか?」と。

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