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2025.09.01
相模屋食料-「感覚や勘、思い付き」は中小企業の強み
代表の中野です。
DX、AI、データドリブン。
これらの先端技術を駆使しなければ、これからの経営は立ち行かない-。
そんな風潮に対して、一石を投じるような講演に出会いました。
先日、東京で某コンサルタント会社主催の講演会に参加しました。
講師は、相模屋食料株式会社の鳥越淳司社長です。

鳥越氏は、相模屋食料の三女の娘婿として2002年に入社されました。
入社当時の売上は28億円。業界では「豆腐屋とできものは大きくなるとつぶれる」と言われていたそうです。しかし同社はすでに年商400億円を超える企業へと成長し、その格言を覆しています。
もちろん、豆腐業界ではぶっちぎりのナンバーワン企業です。
同社の代表的なヒット商品が、2012年発売の「ザクとうふ」。
ガンダム好きであれば誰もが知る商品です。
「ザクとうふ」のコンセプトは以下の3点です。
- 30〜40代の男性をターゲット
- 何もつけずにそのまま食べられる
- 1機(1丁)をまるごと食べられる
これらの発想は、すべて豆腐業界では初めての試みです。
鳥越社長自身が大のガンダムファンだったことから生まれた、いわば「思いつき」の商品です。
現在は「Beyond Tofu」という、20代女性をターゲットにした商品も展開されています。
驚くべきことに、これら新商品は専門の開発チームなどは存在せず、すべて社長一人のアイデアによるものだそうです。
合議でもめることはないかわりに、責任もすべて社長一人が負います。
鳥越氏は、データドリブンとは対極にある「感覚」や「勘」に重きをおかれています。
鳥越氏によれば、同社の特長は次の通り。
- 組織は「あいまい」
- 管掌は「だいたい」
- あうんの呼吸
- 計画は「ざっくり」
会社が成長するにつれ、「そのやり方では通用しない」と外部から指摘されることも多かったそうです。
しかし鳥越氏は「感覚だけでどこまでいけるか」に挑戦し続けている、と語ります。
これは「感覚や勘こそが中小企業の強み」という信念の表れといえます。
最後に鳥越氏は、「中小企業の場合、“理論”は後付けであるべき」と提言されました。
時代に取り残されまいと、最新テクノロジーの導入に躍起になりがちな私たちの経営姿勢に、一石を投じる言葉でした。
「デジタルに偏りすぎるのはNG。アナログの良さも忘れてはならない。」
生成AIの進化と普及が加速する時代にあって、アナログとデジタルを融合させたハイブリッド経営の重要性を、改めて学んだ気がします