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2021.07.12

落語の面白さに気づいたきっかけ「鈴ヶ森」

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経営管理部の野口です。

これまで落語など聴いたことがなかった私ですが、唐突に古典落語にハマってしまいました。

きっかけは、Eテレの「えほん寄席」を娘と観ていた時に流れた落語の面白さでした。
「えほん寄席」は、簡易的なアニメーションに、落語家の声が入ります。
終盤に、落語家の名前がテロップで入るので、ちらっと脳裏に残った名前が「古今亭志……」でした。
もちろん、タイトルも見ていません。
これまで「えほん寄席」は観たことはあったものの、気になって調べるほどになったことはありませんでした。
しかし、「えほん寄席」、これが私の落語との出会いでした。

一瞬目に留まった「古今亭志……」をヒントに、ネットで調べてみると
「古今亭志」がつく落語家は、たくさんいらっしゃるようで…

そこで、落語に詳しい知人に急遽連絡をしてみると、
「そのおはなしはたぶん鈴ヶ森で、古今亭志ん朝のお弟子さんかなぁ」
ということで演目が判明し、
落語家の名前に似たものが多い理由もわかりました。

声の主を探すしかない、とYouTubeで「鈴ヶ森」を聴き漁ります。

複数人の落語家で、一つの演目を聴き比べる頃には、おそらく私は落語の沼に入っていたのかもしれません。

同じ演目なのに、こうにも違うものなのかぁ…としみじみとしていると…
見つけました、見つけました。
声の主は、「古今亭志ん五」という落語家でした。

調べてみると、与太郎役がたいそう特徴的で評判が良さそうです。
「鈴ヶ森」は、追い剥ぎを企てる親分と子分の話で、子分の頼りない感じ(与太郎感)が面白くて面白くて…。

私の華々しい落語デビューは、
まさに与太郎役の素晴らしい初代古今亭志ん五さんによる「鈴ヶ森」でありました。
(現在、現役の古今亭志ん五さんは二代目とのことです。)

古今亭志ん五さんを探し出すために、検索したせいか、
この後、検索でよく関連に出てきた「三代目古今亭志ん朝」さんによる古典落語も聴き漁ることになるのですが
よくよく考えてみると、当然ながら音源や映像が残っている落語は、実は限られているんですね。
そういう環境から、今では三代目古今亭志ん朝さんのファンになり、よく聴いています。

落語の歴史は、室町時代後期(の御伽衆)からだそうで、
江戸時代には、今のような寄席の形が完成したのでしょうか。
歴史を調べるのも面白そうですね。

今は、こうして様々な落語家で同じ演目を聴き比べたり、
同じ落語家の演目をたくさん聴いたり、
たまにテレビで見かけた落語家を調べて聴いてみたりして
自分の好みを探しているところです。

「鈴ヶ森」は私が落語に引き込まれるきっかけとなる演目ですが
「鈴ヶ森」以外にも多くの泥棒噺といわれるジャンルがあるようで、
落語の世界では、お客の懐や心を盗めるように、との験担ぎで縁起が良いジャンルとされているのだそうです。

落語の面白さについ昨日気づいた、くらいのまだまだ浅い落語ファンなので、
これからどうやって掘り進んでいこうかと迷っているところです。

まずは、江戸の古典落語を聴き込んでから関西の上方落語も聴いてみようかなと思っています。
その後、雑誌やテレビなどでも見かける神田伯山さんが有名なようですが「講談」にも手を染めることになるかどうかは、まだわかりません。
未定でございます。
江戸の古典落語でおすすめの落語家さんや演目があれば是非教えてください。サンビットの野口までご連絡を。

私からは、まだまだおすすめの演目、なぞは出せませんけれど
落語に興味のない方も、私のように、ふとしたきっかけで落語の面白さに気づくことだって、いつ何時あるかもしれません。
私が古典落語を聴き始めた時、最初の最初に何に感動して、何が気になったかを書き出してみます。

聴き始める時、今はインターネットという便利なものがありますので
先述した「一つの演目をいろんな落語家で聴き比べてみる」というのは、意外に楽しめますよ。
好きな落語家を見つける前にこそ楽しめると思います。
何度も同じ演目を聴くことで、その噺を覚えますし、落語家によって、物語の風景も違って見えてきます。
不思議と落語家の個性もわかってくるので、好みの落語家を探す時にいいですよ。

また、古典落語には、現代では使わない言葉や表現が多く出てきます。
これは、話の流れからわかるものもあれば、
お噺の前に解説される場合もありますし、
それでもわからないものは調べたりして、
当時の商売や職業、文化、生活の様子が垣間見えます。

例えば、「おあし」は、お金のことなのですが、これは頻繁に出てきますし、使い方からすぐにお金のこととわかります。
しかし、「下地」は「居残り佐平次」に出てくるシーンがありましたが、固有名詞っぽくはないので、醤油のようなものなのだろうな、と。
その他にも「若い衆」「妓夫(牛)太郎」「若旦那」「奴さん」「糊屋の婆さん」「熊五郎(熊さん)」「番頭」「幇間」など、馴染みのない職業や身分、通称などがあるので、調べながら聴いていました。
若旦那は、商家の後継ぎの若旦那ということなのですが、ちょっと世間知らずでお坊っちゃんというキャラクターなのかなと思います。
大工さん(職人)もよく登場しますが、代表的な江戸っ子という感じで描かれているような気がします。お給金(給与)は当時悪くはなかったようで、真面目に働いていればしっかり稼げる職業なのだと思いますが「宵越しの銭は持たない」というキャラクター性を持っているので物語が面白くなります。
幇間(ほうかん)というのは、太鼓持ちで、お客さんの話を聞いていい気分にさせる、それで食べていたというのは凄い世界だなと思いました。

落語なんて、お爺さんの趣味っぽいなぁ、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
実は私もそう思っていたのですが、二十代の頃、能楽が好きで特に秋には毎週のように能楽堂に通っていたりもした時期がありましたが(高齢者に混じってお謳いの教室にも2~3回ですが通ったりもしていました)、それに比べると予習するほど難解ではなく、わからない単語をネットで調べる程度ですし、能楽に比べると随分若々しい趣味ではないでしょうか。

人気アニメ「鬼滅の刃」の次のシリーズが「遊廓編」らしいですが、作者の方はよく調べられていて再現性が高いと評価されているらしいです。遊廓の文化に興味が湧いた方は是非、廓(くるわ)噺も多く用意されておりますので、落語の世界にも一緒にどうですか?
鬼滅の刃を読んだこともない私がものすごく強引に誘ってみました。

落語を聴き始めてまだ少ししか経っていませんが、これからもっともっと楽しみたいと思っています。

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