2025.06.02
代表の中野です。
胸が締め付けられる思いがしました。
今年4月の日経新聞に掲載された、ソニー元社長 平井一夫氏の「私の履歴書」です。
平井氏は主力のエレクトロニクス部門ではなく、当時傍流ともいえる音楽事業の子会社であるCBSソニーに新卒で入社されました。
入社して10年後、ひょんなことから、興味もなかったゲーム事業に配属されます。
PS2までは大ヒットしソニーをけん引していたゲーム事業も、高価すぎたPS3の不振により大失速。
PSの生みの親である久多良木健氏の退任後、SCE(ソニー・コンピュータエンタテインメント)の社長に就任。
高機能・高価格路線を見直して、約3年で黒字化のめどをつけ、再びゲーム事業躍進の礎を築きました。
反面、その頃のソニー本体は苦境の真っただ中。

大黒柱だったテレビ事業は赤字から抜け出せず、パソコンや携帯電話、デジタルカメラといった主力事業の多くが、iPhoneをはじめとするスマートフォンの猛攻を受けます。
そしてソニーが不振の頂点に達していた2012年4月、平井氏に白羽の矢が立ちます。
直前の2012年3月期決算は4550億円という巨額の赤字でした。
まさに「火中の栗を拾う」ような形で、平井氏にソニー再建のバトンが託されたのです。
社長就任後も、人員削減、テレビ事業の分社化、パソコン(VAIO)売却などを進めるものの、2013年、2014年と2年連続で赤字を計上。
投資家、ソニーOB、メディアからの非難は続きます。
一生懸命やっているのに結果が出ない。
平井氏はこのころが精神的にもっとも追い詰められていたことを吐露しています。
程度の差はありますが、私にも共感できる部分があり、このシーンは何回読んでも胸が苦しくなりました。
しかし、ソニーには宝もありました。
スマートフォンや車などの「目」となるイメージングセンサーという半導体は飛ぶように売れていたのです。
平井氏はここに集中的な投資を向けることで、本格的なソニー復活へのフェーズに舵を切ります。
社長就任から6年後の2018年3月期決算では、20年ぶりに過去最高の7348億円の営業利益を叩き出します。
そして、平井氏のもう一つの慧眼は、その後のソニーを牽引する吉田憲一郎氏、十時裕樹氏の両名を経営再建メンバーに引き入れたことです。
当時の苦難の歴史が嘘のように、今のソニーは栄華を極めています。
2025年3月期、ソニーは1兆4,071億円(前期比16.4%増)の営業利益を叩き出しました。
ほんの10年ちょっと前まで、低空飛行を続けていた面影はありません。
世に改革を起こすのは、「よそ者、若者、馬鹿者」と言われます。
ソニー再建の道筋をつけたのは、まさしく「よそ者」であった平井氏と、平井氏が引き入れた吉田氏、十時氏といった「よそ者的視点」を持ったメンバーだったからこそ実現できた功績だと言えるでしょう。
平井氏の再建の歴史を知るにつけ、再建策に奇策はないこと、シンプルともいうべきリーダーシップの要諦を教えられました。
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