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2024.03.04
働き手に支持されるこれからの会社のありかたについて
代表の中野です。
先日、某コンサル会社主催の求人セミナーに参加してきました。
まず講師の方より、2023年度の求人市場の傾向について、以下のようなお話がありました。
- コロナ収束により人材獲得競争が激化していること
- 想定よりも有効求人倍率が低いこと(令和5年12月の有効求人倍率1.27倍)
- 中途採用比率が過去最高水準になっていること
- ソーシャルリクルーティングが台頭してきたこと
印象深い話としては、待遇が良い大手企業でも新卒採用者の離職者が多いため、新卒採用から中途採用にシフトし始めてきたということです。
地方の有力企業が新卒採用を絞ったため、新卒学生がだぶつきはじめてきた地域もあるそうです。
長時間労働、サービス残業、ハラスメントなど、働き方改革の名のもと、企業は昭和から連なる悪しき慣習の一掃に努めてきました。
実際に、いわゆる「ブラック企業」は減少傾向にあるように感じます。
良好な労働環境が整いつつある中、新たに登場した言葉が「ゆるブラック」です。
働きやすいし上司も優しい。
残業も多くなく、労働時間もちょうどよい。
でも、仕事のやりがいのなさや自身の市場価値の低下を危惧して、転職してしまうということです。
経営者や人事担当者から「どないすりゃいいねん!」という恨み節が聞こえてきそうです。
求人手法も昔と今では様変わりです。
公共職業安定所(現在のハローワーク)が設立されたのは1906年です。
その当時、求人手法としては新聞広告が主流でした。
1970年代には求人専門誌が発刊され、1980年代は「とらばーゆ」など特化型の求人専門誌もでてきました。
2000年代、WEBの求人ポータルサイトが登場。
2010年代には、「ビズリーチ」などのダイレクトリクルーティングがでてきて、現在の課金型やSNS型などへと発展してきました。
採用の歴史を紐解けば、この世界もアナログからデジタルにすっかり移行したことが分かります。
転職しようと思えばいくらでも可能な時代、帰属意識を高めようとしたり、離職率低下を目標にするのは、逆流に向かってオールをこぐようなものです。
新卒は会社に定着しないもの。
社員はいずれ転職するもの。
「新卒を含め、社員を会社につなぎ留めることは不可能」という前提で考えたほうがよいでしょう。
これからは会社の都合による定着化に力を入れるのではなく、社員一人一人の幸せをしっかり念頭に置いた経営にシフトすべきだと考えます。
財務指標として、売上成長率、営業利益率、自己資本比率などがあります。
会社の基盤を表すうえで重要な指標ですが、社員の幸せとは直結していません。
いくら当該数値がよくても、年収や待遇が改善されなければ社員は幸せを直に感じることはできません。
働き方も同様です。
コロナ収束後、オフィスへの出社回帰が鮮明になりつつあります。
テレワークの快適さを覚えた社員が、会社の都合で出社させられることにストレスを感じるのは容易に想像できます。
当社の場合、コロナ禍のテレワーク率は80%以上でしたが、コロナが5類に移行した現在でも継続しています。
当社がテレワークを継続する条件は以下の三つです。
- テレワークを望む社員がいること
- お客様に迷惑をおかけしていないこと
- 業績が低下しないこと
社内アンケートでは、圧倒的にテレワークを指示する声が多いです。
幸いお客様からクレームがあったり、業績が低下したりしておりません。
現代の人事戦略については、終身雇用から流動性の高い雇用への過渡期と言えます。
経営層の論理を振りかざすことなく、
「お客様アンケート」ならぬ「社員アンケート」に真摯に耳を傾けることが、これからの働き手に指示される会社に繋がるような気がしています。