2024.05.13
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先日、滑り込みでクリストファー・ノーラン監督映画「オッペンハイマー」を観てきました。
米国で公開された2023年夏当時は、映画「バービー」との二本立て公開で
原爆のキノコ雲とBarbieを組み合わせたネットミーム”バーベンハイマー”が日本でも炎上(?)し、日本での公開は長らく未定となっていましたが、
ほとぼりが冷めて遂に公開となっていたようです。

クリストファー・ノーラン監督といえば、
映画「ダークナイト」で、音響では映画音楽の巨匠ハンス・ジマーとのタッグ、ジョーカー役のヒース・レジャー氏がその後亡くなってしまったこと、元々コミックが原作であるバットマンがあまりにもシリアスに描かれていたのが印象的で、一躍有名になったのかなと記憶しています。
その後、「インセプション」(2010年)や「インターステラー」(2014年)で興行成績的にも大物監督になったのかな、と認識しています。
個人的には一番好きなのが「TENET」(2020年)です。
今回の「オッペンハイマー」も時間軸がごちゃまぜになって映画が進行していく、ということを聞いていたので、
映画としての面白さ、監督らしさ、を期待して観に行くことにしました。
登場人物がとても多いです。
事前に主要人物やその背景を知っておく方が映画はより楽しめるな、というのがまず端的な感想としてあります。
関連書籍を読んでみるのもいいかもしれません。
冒頭に「プロメテウス」に関する一説が字幕で流れます。
プロメテウスとは神から火を盗み、その火を人間に与えてしまったギリシャ神話に出てくる神ですが(リドリー・スコット監督映画「プロメテウス」という映画がありますが、「エイリアン」の前日譚映画での”プロメテウス”の使い方には大いに賛成!)、
オッペンハイマーがプロメテウスってこと?
と思いながら映画を観ることになります。
オッペンハイマーに関する書籍に「オッペンハイマー 「原爆の父」と呼ばれた男の栄光と悲劇 上下巻」(2007年発行)の原題が
「American Prometheus」のようなので、どうやらアメリカではそういう共通認識があるのでしょうか。
ただ、映画を観ていると、アインシュタインも出てきますし、多くの物理学者が登場するので、単独オッペンハイマー=火、原爆と直接結びつけるのも雑では?と思ったりして
そういうのも含めてアメリカらしさを感じたりもしました。
オッペンハイマーは原爆投下からだいぶ経ってからスパイ疑惑で審問にかけられるようです。
それはなぜか、というのも当時の情勢を知っておいた方がいいな、と思います。
マッカーシズム(アカ狩り)や、当時のアメリカの共産主義者達の状況についても詳しく知っておくとより楽しめそうです。
ざっと感想を思いまとめると、
物理学者たちの競争心や切磋琢磨する姿、たまに挟まれる倫理観、政治に口出しできないこと、オッペンハイマー自身の苦悩などの人間ドラマがメインだったので
被爆国である日本人として観ていると…
かなり被害者置いてけぼり感、そっちのけ感が強く、公開が延期になったりしたことが納得できました。
原爆投下による被害想定の描写、投下後の被害状況の描写が全く無いわけではありません。
音声のみで、映像による描写はあくまでオッペンハイマーの妄想や悪夢、想像でデフォルメされており、
実際の被害については綺麗に避けられています。
被害の部分だけが取り除かれている。
例えば、ブラックホールだと、ブラックホールの周辺は見えているのだけど、ブラックホールの中がどうなっているのかは観測ができない、
というような。
そんな感じ…。
被害と加害は常にその力関係が非対称的で、いろんなところでよくあることですが、
そこだけは絶対に描写しないぞ
という強い信念を感じて、疎外感を感じた、というのが率直な感想です。
この映画の批評として、「原爆の被害は主題ではないのでそういう批判は的外れ」というようなものがあるようですが、被害を無視する暴力性に改めて気付かされた映画体験でした。
映画が公開延期になって、何が問題なんだろう?と思ったところから興味を持ちましたが、
漏れ聞こえてくる批評を聞いた上で、改めて
「これは…公開延期は納得だわ…」
ということですね!
一旦、次の映画に期待しよう!と思っています。一応ファンなので。
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