2025.08.04
代表の中野です。
人を殺めた経験のある方と、面と向かって話をしたことがありますか?
私はあります。
それも、とても親しく接していた方です。
その方はSさん。
某大手企業を定年退職された後、私の勤務先の関連会社で、週3日ほど勤務されていました。
私が20代で、Sさんは70歳前後。
朗らかで、休憩時にはよく缶コーヒーをおごってくださるような、親しみやすい方でした。
Sさんは出征経験があり、ときおりご自身の戦争体験を語ってくださいました。

私たちが学校で「第二次世界大戦」と習った戦争を、Sさんは「大東亜」と呼んでおられたのが、特に印象に残っています。
当時、日韓間では「従軍慰安婦問題」が大きな外交・政治課題となっており、韓国側は元慰安婦の人権回復と補償を日本政府に強く求めていました。
一方で日本政府は、「1965年の日韓請求権協定により法的には解決済み」との立場を取り、慰安婦の存在を裏付ける公的資料が少ないこともあり、両国間で大きな認識の隔たりが生まれていました。
あるとき私は、Sさんに尋ねました。
「従軍慰安婦って、本当にいたんですかね?」
Sさんは、間髪入れずに答えました。
「もちろんいたよ。俺が船で戦地に運んでたんだから」
一発回答でした。
そして続けて語られたのは、さらに衝撃的な内容でした。
「上官の命令で、中国人(※Sさんは“支那人”という言葉を使っていました)を掘った穴に入れて、竹やりで刺して殺したことがある」
それは一種の「根性試し」だったといいます。
泣きながら命乞いをしていた人々も、助からないと悟ると、目を閉じて静かに死を受け入れていく姿が忘れられない、と言ってました。
私は、言葉を失いました。
目の前にいる優しいSさんと、そのような行為がどうしても結びつかなかったのです。
そして、私たちが学校で学んできた歴史の中に、このような話は一切登場しませんでした。
しかし後に、ラジオで紹介されていた『あれよ星屑』という戦争漫画を読んだとき、まさに同じような場面が描かれており、Sさんの証言と見事に重なっていたのです。
近年では『ラーゲリより愛をこめて』、『ほかげ』などの映画作品でも、日本兵の加害の実態がようやく描かれるようになってきました。
『あれよ星屑』では、逆に日本兵が現地の民間人に惨殺されるシーンもあります。
戦争は、人を狂わせる。
人は、都合の悪いことを忘れようとする。
今年は戦後80年という節目の年です。
戦争体験者が年々少なくなっているからこそ、私たちは過去から目を背けず、真実を語り継いでいく責任があると、改めて感じています。
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