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2026.10.13

子どもも大笑い、懐かしい物語 プロイスラー作『大どろぼうホッツェンプロッツ』を読み返して

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こんにちは。経営管理部の野口です。

先日、書店で平積みになっていた『大どろぼうホッツェンプロッツ』を見かけました。
懐かしくなり、実家にあった本を持ち帰って、小学2年生の子どもに読み聞かせてみることにしました。

ドイツの作家オトフリート・プロイスラーによるこの物語は、1962年に発表され、日本語版は中村浩三さんの翻訳で1966年に偕成社から刊行されました。
今年、2026年は日本語版刊行60周年。三部作の世界累計は、2022年の出版社発表で約1,000万部にのぼり、日本でも第1作は100万部を超えているそうです。
自分が子どもの頃に読んだ本が、今も書店で紹介されていることをうれしく感じました。

私が持っていたのは第1作目(1984年 第58刷)だけでしたが、読み聞かせをきっかけに調べて、続編があることを知りました。
第2作『ふたたびあらわる』は原著が1969年、日本語版が1970年、第3作『三たびあらわる』は原著が1973年、日本語版が1975年の刊行です。
今は続編もそろえて、三部作をそれぞれ2回ずつ読むつもりで、2巡目を楽しんでいます。

偉大なる大魔法使いも、じゃがいもはむけない

なかでも、私がいちばん魅力を感じるのは第1作です。

おばあさんの大切なコーヒーひきを盗んだ大どろぼうを、少年カスパールとゼッペルが追いかける物語。
ほどよく怖く、悲しくなる場面もありながら、とにかくよく笑わせてくれます。
子どもは笑い転げて、楽しそうに聞いています。

特におもしろいのが、恐ろしい大魔法使いなのに、じゃがいもの皮をむくことだけは魔法で解決できない、という設定です。
大好きなマッシュポテトやじゃがいものからあげを食べるためにも、皮むきには人の手が必要なのです。
ここだけは手間を省けないところに、主食への愛情や敬意まで感じてしまいます。
そしてこの不便さが、物語を動かす仕掛けにもなっていて、実によくできています。

子どもが大好きなのは、カスパールが魔法使いの難しい名前を何度も間違える場面です。

魔法を盗まれることを恐れて、”できるだけ賢くない”召使いを求める魔法使い。
その相手に、カスパールはわざと間の抜けたふりをします。
名前を間違えるやりとりは、読み上げる私まで楽しくなってしまいます。

食べ物がとてもおいしそうに感じられるのも、この本の魅力です。
登場人物たちが食事を楽しみにしている様子から、食べる喜びが伝わってきます。

ソーセージやザワークラウトなどドイツの食べ物も登場しますが、あまりにおいしそうに描かれているので、本場ではどんな味なのだろうと興味が湧いてきます。

笑いだけではない、物語の巧みさ

読み返して気づいたのは、ハラハラさせる描写の細やかさでした。
緊張や恐怖でお腹がきりきりと痛む。どろぼうのねじろに近づくにつれて、足が重くなる。
気持ちや周囲の様子を、体の反応や身近な現象を通して描くので、場面が目に浮かびます。

聞いている子どもにも、その怖さやおかしさが届いているのだと思います。

決して長大な物語ではありません。
それでも、物語の長さ、展開、設定、情景描写、笑いの入るタイミングが絶妙で、子どもの心をつかんで離しません。

第2作にも、大いに笑わせてくれる場面があります。
すぐには笑いどころにたどり着かず、引っ張って、引っ張って、ここぞとばかりに笑わせにきます。
その間の取り方にも、作者の巧みさを感じました。

一方、第3作は笑う場面こそ少なめですが、最後は心が温まります。
同じ登場人物たちの物語でも、三冊それぞれに違う味わいがあります。
続編では挿絵が増えているようにも感じました。
子どもが自分で読むときにも、物語の世界に入りやすそうです。

読み聞かせができる、今の時間

出版社が示す自分で読む対象年齢は「小学校中学年から」ですが、わが家では小学2年生の子どもに読み聞かせています。
声に出して読むと、登場人物のやりとりのおかしさがいっそう伝わり、一緒に笑えるのが楽しいところです。

長い人生の中で、こうして子どもに本を読んであげられる時間は、案外限られているのかもしれません。
今のこの時間を、大切にしたいと思っています。

子育てについては、内田樹さんの、子どもに多くを期待せず、生きていてくれればそれでよい、という趣旨のお話が心に残っています。
自分が子どもだったら、どんな親がありがたいか。
そう考えて、金は出すが口は出さない、というような「子どもにとって都合のよい親」であろうとする姿勢にも、考えさせられました。
親としては、つい期待したり、口を出したくなったりします。
そんなとき、この考え方を思い出せたらいいなと思います。

そして読み聞かせでは、子どもと楽しい時間を過ごし、「本っておもしろいな」と感じてもらえたらうれしいです。

小学2年生だった私にも、もう一度

懐かしい本との再会は、もう一冊ありました。宮沢賢治の『セロ弾きのゴーシュ』です。

私が小学2年生の頃、家から学校へ本を持っていく機会があり、この本を選びました。
クラスメイトの男の子が「セロひきのゴーシュ、おもしろかったよ」と感想をくれたことを、今でも覚えています。
その本は学校に寄付したものだと思っていました。

ところが先日、書店で平積みの『セロ弾きのゴーシュ』を見かけたとき、当時のことが一気によみがえってきました。

今の子どもに、そして小学2年生だった自分にも、もう一度買ってあげたい。
そんな気持ちになりました。

その後、実家で子どもに持ち帰る本を探していると、なんと、その『セロ弾きのゴーシュ』があったのです。

学校に寄付したというのは、私の記憶違いだったようです。
ただ、見つけた場所は脚立がないと届かない高さ。残念ながら、その日は持ち帰れませんでした。
次に実家へ行ったら、ぜひ取り出してこようと思っています。

今は『ふたたびあらわる』の2回目を読み聞かせているところです。『三たびあらわる』の2回目が終わったら、同じプロイスラーの『クラバート』を読んでみる予定です。

子どもの頃に親しんだ本を、今度は自分の声で子どもに届ける。子どもが笑う様子を見ながら、私も物語のおもしろさを改めて味わい直しています。

いつか子どもがこの本を見かけたとき、一緒に笑った時間も思い出してくれたらうれしいです。

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