2026.07.24
こんにちは
情報セキュリティ委員会の吉岡です。
近年、サイバー攻撃の手口は極めて巧妙化・複雑化しています。その中でも、現在私たちがもっとも警戒すべきトレンドの一つが、「QRコードを利用したフィッシング詐欺(通称:クイッシング/Quishing)」です。以下に、フィッシング対策協議会が公開している最新の統計データを引用します。
2026年5月の報告件数は「126,061件」に達しており、そのうち「35.6%」がクレジットカードブランドを装ったものとなっています。このように、日常生活に浸透したサービスを悪用する手口が急増しているのが現状です。

出典:フィッシング対策協議会(フィッシング報告件数)より。
従来のフィッシングメールは、本文に記載された「リンク(URL)」をクリックさせるものが大半でした。しかし、多くの企業がセキュリティ対策ソフトを導入したことで、怪しいURLを含むメールは自動的に検知・ブロックされるようになっています。そこで攻撃者が目をつけたのがQRコードです。
多くのメールフィルターは、画像内に埋め込まれたURLの解析を不得手としています。そのため、従来のリンク形式であればブロックされていたはずの悪意あるメールが、「安全なメール」として受信トレイを通過してしまうリスクがあるのです。
パソコンには強力なセキュリティソフトが導入されていても、個人のスマートフォンは対策が手薄なケースが多々あります。QRコードをスマホで読み取らせることで、攻撃者は企業の監視の目が届かない環境へユーザーを誘い出すのです。
特に注意すべき、代表的な2つのパターンをご紹介します。
「セキュリティ強化のため、アカウントのMFA(多要素認証)の再設定が必要です。以下のQRコードをスマートフォンで読み取り、手続きを完了させてください。」
企業のIT管理者を装うこの手口は、セキュリティ意識が高い人ほど「迅速に対応しなければ」という責任感から、ついスキャンしてしまう心理的隙を突いています。
「今月の給与明細(または社内規約の改定通知)を発行しました。詳細はこちらのQRコードからアクセスしてご確認ください。」業務連絡を装い、知的好奇心や義務感からQRコードをスキャンさせようとする手口です。
この潜在的な脅威から組織と個人の資産を守るために、以下の3つの防衛策を徹底することを推奨いたします。
社内連絡であれ、外部企業からの通知であれ、メール本文にQRコードが添付されているケースは極めて稀です。基本的には「怪しい」と疑ってください。
万が一スキャンしてしまった場合も、まだ間に合います。ブラウザが開いた際、アドレスバーに表示されているURLが、公式なものであるか(例:見慣れた社内システムのドメインか)を必ず目視で確認してください。
メールのQRコードからではなく、普段ブックマークしているお気に入りや、社内ポータルサイトから直接該当のページへアクセスし、通知が本物かどうかを確認する癖をつけましょう。
技術が便利になればなるほど、攻撃者はそれを悪用する新しい方法を編み出します。しかし、どれだけ手口が巧妙になっても、「一歩立ち止まって確認する」という私たち一人ひとりの意識が、最大の防御壁になります。
技術の進歩は利便性をもたらす一方で、攻撃者にとっても新たな武器となります。しかし、いかに手口が高度化しようとも、「一歩立ち止まり、正当性を確認する」という一人ひとりの堅実な意識こそが、組織における最大の防御壁となります。不審な兆候を察知した際や、万が一の事態が発生した場合には、迅速に組織のセキュリティ担当部署へ報告・相談できる体制を整えておくことが、被害を最小限に食い止める鍵となります。
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