2026.11.02
代表の中野です。
10月26日付の日本経済新聞一面の見出しに「『多重下請け』『役職定年』生産性そぐ日本の因習」という記事が掲載されていました。
日本の労働生産性が主要先進国と比較して低い背景には、長年続いてきた商習慣や人事制度の問題があるという内容です。
特にIT業界の多重下請け構造と役職定年制度については、同じ業界の経営者として考えさせられるものがありました。
IT業界では、元請けから二次請け、三次請けへと仕事が流れる多重下請け構造が長年続いています。
問題は、技術力や付加価値ではなく、単に技術者を顧客先に送り込み、労働時間に応じて対価を得るだけのビジネスになりがちなことです。
いわば人材派遣と変わらない働き方であり、企業として技術者を育成する意識が薄れ、教育投資も後回しになりがちです。
さらに、同じ職場で同じような仕事をしていても、発注元企業の社員と下請け企業の技術者との間には、大きな賃金格差が存在するケースもあります。
こうした構造では、技術者の待遇改善も難しく、IT業界全体の生産性向上にもつながりません。
私たち中小IT企業こそ、人材育成に投資し、技術力と提案力を高め、顧客に直接付加価値を提供できる企業を目指すべきだと考えます。

もう一つの問題が役職定年制度です。
年齢を重ねたからといって、能力や生産性が急に低下するわけではありません。
当社では60歳の定年を迎えた社員についても、業績や生産性が落ちず、引き続き活躍できる方には、原則として従来と同じ労働条件で勤務を継続していただいています。
一方で、業績や会社への貢献度、担う役割、働き方などを総合的に評価した結果、賃金を見直す場合もあります。
大切なのは、年齢だけで一律に処遇を決めるのではなく、本人の能力や成果、貢献度に応じて公平に評価することだと考えています。
デービッド・アトキンソン氏の著書「国運の分岐点」では、賃金と生産性が低い中小企業が多すぎることが、日本経済が長らく低迷した要因であると指摘されています。
当社では以前から「時間当たり採算」を重要な経営指標としています。
限られた時間の中で、いかに高い付加価値を生み出すか。その成果を社員の待遇改善や働きがいの向上につなげることが重要だと考えています。
今回の記事を読み、改めて感じたのは、長年続いてきた制度や商習慣を「当たり前」と考えず、見直していくことの大切さです。
社員の能力を最大限に引き出し、その成果にふさわしい待遇で報いること。
そして、賃上げと生産性向上の両立こそが、私たち中小企業にとって喫緊の課題であると、改めて強く認識させられる記事でした。
2026.11.02
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